Dharma Budaya
私が初めてジャワに行く時、現地を知る人に「向こう夜は寒いから、何か上から羽織るものがいるよ」と教えてくれました。「え、ジャワって熱帯じゃないの? 夜も暑くて眠れないんじゃないの?!」と、疑問符が頭の中で並ぶ。イメージするジャワは、うだるような暑さ!以外、何物でもなかったから。
行ってみて判りました、寒いです。私が行った8月は、乾期で湿度が低く、赤道直下とはいえジャワは南半球にあるため、季節的には一応真冬。夜は一気に気温が下がります。ある夜、ガムランを聴きにいったときなど、半そでの上に長袖の上着を着てショールを掛けても、風が冷たく、同行の中には、あまりの寒さに風の当たらないところへ避難する人もいました。演奏していた場所が「プンドポ」と呼ばれる儀式用の建物で、屋根はあるが壁がない、ガムランには最適な、しかし風は良く通る場所だったというのもあったのですが、ガムラン演奏する人たちも演奏が終わると「ディンギン、ディンギン〜。(寒い寒い〜)」といって肩をすぼめて体をさすり、そのジェスチャーが日本人と変わらないなと、妙に親近感を持ちました。
そして、表題の革ジャンの登場です。昼間のジャワに、革ジャンほど似合わない物はなく、部屋にポンとおいてあると変な感じがします。「このくそ暑いのに、なぜ革ジャン?…」気にしてみると、お店にもいろんな革ジャンが売られています。そして、よく目にするのです、革ジャン。なぜそんなに人気が…。もう、判ると思いますが夜に使うのですね! でも、そこまでせんでも…と思ったのですが、向こうはバイクに乗る人が多いのです。薄着では、夜風が身にしみるのですね。行ってみるまで想像もしなかった、ジャワの日常のひとこまでした。(松田 仁美)
ジャワで買い物に出ると店の形態がいろいろあって驚きました。珍しいと思う一方でどこか懐かしくもあり、不思議な感じがしていました。
昨夏に泊まったソロのホテルは街を代表する大通りに面していました。片側3車線の計6車線、レストランやバイク屋さんやホテルや銀行などがあります。路上には露店や屋台がたくさん並んでいます。ワンボックスカーの後部が店になっているのはパン屋さん、手押しタイプはお菓子屋さんや雑貨屋さん、イスを並べているのはお茶屋さんや焼鳥屋さん、歩道にゴザを広げてご飯屋さん。時間帯によって同じ場所でも違う店が商売していたりします。ある時、厳重に塀で囲まれた街なかの空地に無人の屋台がひしめいているのを見つけました。出番以外の時間帯はそういったところにいるようです。自転車の後部に店がくっついていて移動しながら商売するお店もあります。カットフルーツ屋さんやアイスクリーム屋さん、サテ(焼鳥)屋さんなどです。音楽を流したりしながら来るので屋内にいても外にいてもよく分かります。
大通りをそれて路地裏に入ると、道幅が狭くなり車が入るのに難儀しそうです。バイクが通るのがやっとのところもあります。民家が延々と続きますが、ところどころに小さな食堂や便利な雑貨屋さんがあります。雑貨屋さんは日本の昔のタバコ屋さんに似て間口が狭いのですが、品揃えが豊富で、スナック菓子や煙草や水や米や石鹸や電池などいろいろなものを売っています。こういった雑貨屋さんはいろいろな場所でよく見かけます。
路地裏では野菜を行商するおばさんを何度か見かけました。菜っ葉類のほか、ナンカの若い実を路上で割りながら売っていました。ナンカは別名ジャックフルーツといい、熟すと生でフルーツとして食べられますが、若い実は煮込みなどの料理に使います。おばさんの周りに近所の奥さんたちがわらわらと集まってきて買っていく様子は日本の豆腐屋さんを思い起こさせます。
大通りやバス通り沿いには、ショッピングモールやスーパーマーケットがあります。映画館を併設するような大規模なものが近年次々にできています。建物も、売っているものも「新しい」という感じがします。門前にはベチャ(輪タク)と車がびっしり駐まって盛況ぶりを示しています。その賑わいに引き寄せられるように露店や屋台も並んでいます。
一方で、新しくはないけれど、賑わいで負けていないのがパッサール(市場)。露店が連なっている場合もありますが、建物の場合は、大きな2階建てで小さな店子がたくさん入っていることが多いようです。建物の中は少し薄暗くて通路も狭いのですが活気があり、人々の生活の息吹を直に感じることができます。門前にはやはりベチャと露店がぎっしり並んでいます。大きなパッサールは売るものによってある程度まとまっていて、布や食料品のパッサールが有名です。布のパッサールでは壁の下から上までぎっしりと布が収納されていたり、服が展示されていたり。それでもお店の人に尋ねればちゃんとほしいものを引っぱり出してくれます。食料品のパッサールでは新鮮な肉や野菜が売られています。私が散策中に行き遭ったパッサールでは魚も売っていて驚きました。野菜は日本にないものも多いので見ているだけでも面白いです。花や鳥のパッサールもあります。
こうして、ジャワの街を歩くたびにいろいろな店に目を奪われ物珍しく感じていましたが、この記事を書いているうちに、日本も同じなのでは、という思いが強くなってきました。
私の住む街には以前、商店街と市場がありました。市場は正式名称を『阪急ショッピングセンター』といいましたが市民は『市場』と呼んでいたし、構造や雰囲気もジャワのパッサールに近いものがありました。駐車場があった頃はいつも八百屋の露店が出ていました。駅前に百貨店とショッピングモールができた影響でそれらは廃れて解体されましたが、今も駅前の路地を一本はいると青空市場が健在で、靴修理のおじさんが道具箱ひとつで商売しています。新しいものと旧いものの織り交ざりかたは、日本もジャワも似通っているように思います。(稲田 直美)
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